🐾 猫が語る、日常の小さな幸せ

🐾 猫が語る、日常の小さな幸せ①

第1回 「朝の陽だまり」

吾輩は猫である。名はキキ猫。
今朝、障子の向こうに淡く差し込む光を見て、少し早めに目が覚めた。

人間は「朝は苦手」などと言うが、吾輩にとって朝というのはなかなか味わい深いひとときである。
空気はまだ冷たく、部屋の片隅には昨日の名残がほのかに香る。
だが、東の窓からほんのりと差す光だけが、確かに「今日」が始まったことを告げてくれるのだ。

いつものように、主(あるじ)は寝坊している。
だが、吾輩は知っている。あのヒトもこの時間が好きなのだ。
起き抜けに「キキ、もう日が差してるねぇ」とつぶやきながら、吾輩の頭を一撫でする。
――その仕草ひとつで、世界は今日も大丈夫だと思えるのだから不思議だ。

そして吾輩は、日だまりの中で丸くなる。
背中は暖かく、鼻先はほんの少しだけ冷たい。
ちょうど良いバランスというのは、こういうことを言うのだろう。

主がまだ夢の中にいるうちに、吾輩は今日の小さな幸せを見つけておく。
きっとこの部屋には、あと何回か“ちいさな幸せ”が落ちている。
それを見つけていくのが、吾輩の日課であり、楽しみでもあるのだ。


☀️キキ猫の小さな哲学

「大きな幸せはたまにしか来ない。だが、“ちいさな幸せ”は、毎朝ちゃんとやって来るにゃ。」