第4話 夜中にこっそり、冷蔵庫の前で…
吾輩は猫である。名はキキ猫。
深夜の部屋は静かである――いや、そう“見える”だけにゃ。
実際には、主(あるじ)がごそごそと動き出す時間でもある。
そう、夜更けの“冷蔵庫タイム”が始まるのだにゃ。
吾輩はお気に入りの座布団の上でまどろんでいた。
すると、暗がりの中、主が寝室からそろりと出てきて、
音を立てぬよう、スリッパを脱ぎ――冷蔵庫の前に立つ。
パカッ。
冷蔵庫の光が、深夜の台所を白く照らす。
その明かりに照らされた主の顔は、妙に真剣にゃ。
そこから始まるのが、“つまみ食いタイム”である。
冷蔵庫をのぞきこみ、「何かないかな〜」とつぶやきながら
ハム、プリン、ヨーグルト、果てはおにぎりまで――
手当たり次第に検討し、時にその場で立ち食いするにゃ。
ヒトは言う。「寝る前に食べると太るんだよね」
ではなぜ、食べるのにゃ。
吾輩にはその矛盾が理解できぬ。
でも、主の背中からはこう聞こえてくるにゃ。
「今日はがんばった。ちょっとくらい…いいよね?」と。
どうやら夜中の冷蔵庫は、ヒトの“ご褒美ボックス”らしい。
昼には罪悪感で手を出せぬものも、
夜になると魔法がかかったように“許される味”になるのかもしれぬにゃ。
そう考えると、猫にとっての“夜のちゅ〜る”に似ておる。
日中は忙しくて構ってもらえずとも、
夜になれば主が「キキも食べる?」と声をかけてくれることがある。
あの時間は、吾輩にとっても特別にゃ。
暗がりの中で、静かに与えられるごはん。
それは単なる食事ではなく、“誰にも邪魔されぬひととき”なのだ。
ただ、ひとつ言っておきたいにゃ。
夜の台所で、吾輩が近くにいても
何も落ちてこないのは少々残念にゃ。
吾輩はちゃんと、冷蔵庫の光に反応して駆けつけておるのに、
主は「これはダメ、猫は食べられないよ〜」と笑うばかり。
にゃらば、猫用の深夜メニューも用意しておいてほしいところにゃ。
夜のチュールバーとか、夜間限定煮干しブッフェとか……夢が広がるにゃ。
🐾 まとめ:夜の冷蔵庫には、ヒトの“ご褒美”が詰まってるにゃ
- ヒトは夜になると、静かに冷蔵庫の前でご褒美を探すにゃ
- 罪悪感と甘やかしの狭間でつまみ食いする姿は、ちょっと切なくて愛しいにゃ
- 吾輩もいつか、夜のおやつを一緒に楽しんでみたいにゃ(安全なやつで)